舞台に登場するのは10人の家族。一人一人が抱えてきた思いをはき出した時、日常の景色が少しずつ変わっていく……。
英国の劇作家ベス・スティールの「星の降る時」は、そんな情熱的な会話劇だ。日本初演の演出を担うのは、栗山民也。物語の軸となる3人姉妹の次女マギーを那須凜が演じる。
舞台は、かつて栄えた英国の炭鉱町。古くからの住民と、新たにやってきた移民との間には緊張関係が漂っている。三女シルヴィア(三浦透子)が、ポーランド移民のマレク(山崎大輝)と結婚することになり、久々に家族が集う。幸せに包まれた祝いのうたげは、それぞれが言葉を交わすにつれ、不穏な空気に変わっていく。
栗山は、この作品の中心にあるのは「現状維持が一番平和だと思いながらも、それを打ち破りたい小さな家族の日常のせめぎ合い」という。「それが広大な宇宙につながる。パノラマのような演劇なんです」
那須は「姉妹であっても考えていることは全然違う。それが面白い」。3姉妹の父トニー(段田安則)や長女ヘーゼル(江口のりこ)など、他の家族たちも「この人数だけで地球が描けるくらい」(栗山)に、個性豊かだ。
実生活でも、今回の役柄と同じ3人姉妹の次女という那須。「重なる部分は、すごくある。独特ですよね、真ん中って」。マギーの性格を「奔放なように見えるけど、実は家族に気を使っている。私も同じです」と話す。
栗山が「とにかくよくしゃべる人たち」というだけあって、家族たちは本音でぶつかり合う。
だが、栗山は「心を開いて主…