中学、高校、大学と進む度に、SNS上で新たな友達が増えていく若い世代。節目で人間関係が入れ替わることもなく、ただ「つながり」が積み増しされていくように見える。若者が「サヨナラできない」理由を、社会学者で筑波大学教授の土井隆義さんに、聞いた。
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――10代が日常的に連絡で使うスマホは、クラスやら学年やら部活やらのグループLINEだらけみたいです。進学しても以前の友人関係がきちんと続いているのが不思議です。
「大学生もそうです。大学に進学せずに就職した高校時代の知り合いと会って遊んだという話はよく聞きますし、中学時代の仲間も『同中(おなちゅう)』と呼んで大切にしているようです」
――学校が変われば、それに合わせて新しい人間関係が上書きされていくのが普通のように思いますが。
「かつてはそうでした。若者の交友関係は、中学、高校、大学へと進学するに連れ、入れ替わっていくのが常でした。でも昨今は違ってきているようです」
「生まれた地域の人間関係がずっと維持されたままで、生活拠点が変わっても、その付き合いが消滅することはまずありません。惜別と出会いで人間関係が更新されていった時代とは大きく異なっています」
――なぜでしょうか。いつどこでもつながることができるネット環境が発達したことが大きいのでしょうか。
「交友関係が入れ替わらない…