政府は3月末、中国が台湾に侵攻する台湾有事を念頭に、沖縄県・先島諸島の5市町村に、ミサイル攻撃などから住民らが一時避難するシェルターを整備する方針を発表しました。「シェルター先進国」と呼ばれるスイスの施設を3月に視察した笹川平和財団の小林祐喜研究員は、「整備だけではなく、十分な運用を実現するためにも、国民全体が納得する議論が必要だ」と指摘します。
――視察したスイスの施設はどうでしたか。
中部ルツェルン市の公設核シェルター「ゾンネンベルク」を訪れました。同市は人口約8万人です。「ゾンネンベルク」は1976年、2万人収容の施設として完成しました。放射線を遮断するため、全体を30センチ超のコンクリートで覆っています。
手術室を備える病院、シェルター内の治安維持を担う警察署のほか、貯水タンク、発電機、食料備蓄・調理施設、換気設備を備え、2万人が2週間生活できる機能を維持していました。
――スイスの核シェルターの人口カバー率は107%だそうですね。
スイスでは、62年に米ソが…