ジェンダー平等を掲げ、男女の選手数が同数になることを目指すパリ五輪まで1週間。だが、指導者に目を向けると、そこには男女の埋まらぬ差が見えてくる。女性指導者の活躍の場が広がらない理由は、どこにあるのか。
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今年1月、メッセージアプリ「ワッツアップ」で、あるチャットグループが立ち上がった。そこに参加する52人は、パリ五輪・パラリンピックの指導者。種目や国籍はばらばらだが、全員が女性だ。
「世界中で女性指導者は少ない。男社会の中で孤立しがちで、『悩んでいる』と言える場所が必要だった」
グループでの交流を発案した英国のビッキー・ハイトンさん(39)はそう訴える。チャットでは、大会など公の場では見せられなかった弱音やストレスをそれぞれが打ち明ける。
ハイトンさんは陸上競技の指導者で、2012年のロンドン五輪時は英国陸上競技連盟のスタッフだった。ただ、その頃から女性指導者が活躍することへの「壁」を感じ始めた。
パリ五輪の選手は「男女平等」、指導者は…?
14年には、スポーツ界での女性の活躍を目指す「女性指導者ネットワーク(FCN)」を設立。英国内外の女性指導者から、苦労話や選手時代の性的被害の経験談などが寄せられるようになった。
一方、今回のパリ五輪でも…