高校写真部の日本一を決める第32回全国高等学校写真選手権大会「写真甲子園」が7月29日から、北海道東川町で開かれている。
撮影初日となる30日には、丘陵地帯の農村景観で知られる美瑛町が最初の舞台に選ばれた。巡回しているバスから、広い範囲のどこで撮影するかを即座に決めなければならない。
和歌山県立神島高校から参加している浜本海里さんはバスから飛び降りると、農作業中の男性に声をかけた。農地に入る際には、靴にはシューズカバーをつけて、農家の許可を取るのが決まりだ。
声をかけられた農家の舟山雅一さんは「写真甲子園をやるのは知っていたけれども、うちに来るとは思わなかった」と言いながらも、農地への立ち入りを許可した。
舟山さんは農作業の合間に、出荷できなくなってしまったスイカを切ってくれた。浜本さんはスイカを食べながらも、光線状態の良い場所に舟山さんを誘導することを忘れない。
舟山さんがトラクターに乗れば、走って追いかける姿に見守っていたスタッフからも思わず、感嘆の声が出ていた。
美瑛の次は一転して、上富良野町の市街地が撮影場所になった。暑さのせいもあり、歩いている人もほとんどなく、被写体探しに苦労する選手が多かった。
初出場の静岡県立浜松江之島高校の生徒たちは、北海道らしい背景を探して、セルフポートレートに挑戦していた。
上富良野神社の境内に大きな切り株を見つけた。怒られるかなと心配しながら、切り株の上に乗って撮影しても良いかを尋ねた。
対応した宮司の板谷之敬さんは快諾。「若い人が来て写真を撮ってくれるのは大歓迎。古いお祭りも写真に残っていたから再現できたこともある」と理由を説明した。
2カ所での撮影後はテーマに沿って、8枚の写真を選んでプリント。その作品をもとに31日午前に最初の審査が開かれる。