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 スポーツ指導者がハラスメントを起こしたとき、「結果を残しているから」「熱心な人なのに」と、かばう声が上がることがあります。選手のメンタルケアも手がけるスポーツ心理学者の土屋裕睦・大阪体育大学教授は「本来、やってしまった行為はかばいようがありません」と話します。なぜ「実績」や「人柄」の話が持ち込まれがちなのでしょうか。

 ――スポーツ指導者がハラスメントを起こした時、「結果を残している」「熱心な人なのに」などと、かばう声を聞きます。

 「やってしまった行為は本来、かばいようがありません。にもかかわらず、指導者の『実績』や『人柄』の話が持ち込まれることが多い。実績や熱心さと、良いコーチであることは別物です」

 「主要団体など国内スポーツ界は、2013年に暴力行為根絶宣言を採択しました。暴力には、言葉や態度での威圧も含まれます。いま『良いコーチ』の最も大事な条件は、『誰もが安心・安全なスポーツ環境を作れること』です。この認識が社会で共有されない限り、加害者に甘い状況は続くのではないでしょうか」

 ――なぜ、加害者をかばう声が上がるのでしょう。

 「社会構造に問題があるので…

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