自動車向け部品加工を手がける日進工業の工場=同社提供

超円安時代

歴史的な円安ドル高が続いている。家計の負担は膨らむ一方、輸出企業には過去最高益をもたらした。34年ぶりの円安水準は、私たちにとって、企業にとって、日本にとって、「恵み」か「災い」か。その功罪を解き明かす。

 物価高が押し寄せ、賃上げが声高に叫ばれてきたこの3年。自動車向け部品の加工を手がける日進工業(東京都大田区)は、その波に乗れず、賃上げできずにいる。

 従業員は10人ほど。プラスチックの成形加工技術に強みを持ち、山梨県にある工場で主にドア部品を作る。自動車メーカーの2次請けにあたる。

 その自動車メーカーが円安を背景に、もうけが膨らんだのと対照的に、この数年は赤字が続く。竹元盛也社長は「受注が増えず、業績は厳しい」と肩を落とす。

 自動車関係の取引は、規模が大きいうえ、安定している。しかし、自動車は海外販売が好調となっても、国内での生産が大きく増えるわけではない。大手のもうけも「下請けであるうちのところまでは全く来ていない」(竹元さん)。

 そこに円安の進行が重しとしてのしかかる。

 原油高と円安で、プラスチッ…

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