Smiley face
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王谷晶さん=河出書房新社提供
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 世界的に知られるミステリー文学賞、英国推理作家協会賞(ダガー賞)翻訳部門に王谷晶(おうたにあきら)さんの「ババヤガの夜」の英訳版「The Night of Baba Yaga」(サム・ベットさん訳)が、日本作品として初めて選ばれた。一夜明けた4日、現地からオンライン記者会見に臨んだ王谷さんが喜びを語った。主なやりとりは以下の通り。

――受賞から一晩明けた現在の気持ちは。

 何もかもが生まれて初めての経験で、半分パニック状態のまま受賞させていただいた。サムさんが盛り上げてくださったので、安心してあの場(スピーチ)を乗り切ることができた。

 ホテルの部屋で、ダガー賞の盾を見て、ちょっとずつ実感は湧いてきたが、喜びよりもさらに大きく、責任があるなみたいな気持ちになった。これをもらったからには、次を早く書かないといけないなという気持ち。責任感が、今一番大きい。生え抜きのミステリー作家ではないので、気後れもある。

――授賞理由では、「まるで漫画のように、日本のヤクザの暮らしを生々しく描写したこの作品は容赦なく暴力的だが、そこには、異世界に身を投げ出された登場人物の深い人間性を浮き彫りにするというただ一つの狙いがある」などとされた。

 バイオレンスアクションであること、日本が舞台であること、加えて、主人公が女性で、女性同士の物語ということもインパクトが強かったのかなと思う。

 漫画のようとか映画のようという評は結構いただくが、「ババヤガの夜」はテキストでアクションをやりたいということがまず最初にあった。テキストでありながら漫画や映画という動きのある表現手段のことを思い浮かべていただき、成功したな、自分の思うところがやれたなという気持ち。すごくうれしい。

――受賞スピーチでは、「あい…

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