記者コラム 「多事奏論」 編集委員・原真人
平均株価がバブル期の最高値を大きく超え、一時4万2千円を突破した。そう聞いて首をひねった人も多かったのではないか。はて、景気がそこまで絶好調という実感はまったくないのだが……と。
春闘では満額回答が相次ぎ、33年ぶりの大幅な賃上げという明るいニュースもある。とはいえ中小零細企業では大手ほどの賃上げは実現していない。超円安でモノやサービスの値上げラッシュは今も続く。給与明細に記される支給額は増えても家計の購買力は逆に下がっている。
輸出企業の業績はたしかに好調だ。ただし円安で、円換算した海外収益が決算上は良く見えているという事情がある。
株価もそうだ。史上最高値といえどもドル換算で考える海外投資家の目から見れば日本株は安売り状態に見えている。
東京証券取引所の上場株式の…