ロシアの侵攻が続くウクライナへの軍事支援をめぐり、大規模な基金の立ち上げに向けた協議を進めることで合意した北大西洋条約機構(NATO)は、4日で創設から75周年を迎えた。「最も重大で直接的な脅威」と位置づけるロシアへの対応に迫られるなか、加盟国間の温度差など、課題も抱える。
- NATO、ウクライナ支援の基金創設へ協議開始で合意 16兆円規模
「12カ国だった我々は今や32カ国になった。欧州と米国はともにより強くなる」。4日に行われた75周年の記念式典で、ストルテンベルグ事務総長はこう語った。式典後、ストルテンベルグ氏は、ウクライナのクレバ外相と共同声明を発表。「ウクライナ支援が予測可能で、公平な負担分担で、そして長続きすることを保証する必要がある」と訴えた。
これに対しクレバ氏は、「ロシアはウクライナを地図から消し去ろうとしている。記念日を台無しにしたくないが、私のメッセージは(地対空ミサイル)パトリオットだ」と述べ、NATO側に防空システムの供与を加速するよう求めた。
NATOは1949年、米国や英仏などの12カ国で設立された軍事同盟で、一つの加盟国への攻撃に対して全加盟国で防衛するという「集団防衛」を定めている。東西冷戦時は旧ソ連から欧州の同盟国を守る意味合いが強かったが、冷戦終結後の状況は様変わりし、旧ソ連圏の中東欧諸国やバルト3国が加盟した。
だが、その後は結束にほころびが見えた。「米国第一」を掲げたトランプ前大統領はNATOを軽視。マクロン仏大統領が「脳死状態」を表現するほど、足並みの乱れが顕著になった。
「同盟を戦争に近づける可能性がある」
こうした状況を変えたのが…