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国際線到着ロビーに展示する「味噌桶(みそおけ)」を除幕する関係者=2025年2月17日午前10時9分、愛知県常滑市、溝脇正撮影
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 セントレアの愛称で知られる中部空港(愛知県常滑市)が開港から20年を迎えた。三大都市圏にある空港として、国内外の路線が集結する「ハブ」をめざして離陸したものの、その存在感は高まっていない。中部空港の現在地と課題とは。

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 2月上旬、中部空港の国際線到着ロビーを訪ねると、キャリーケースなど大きな荷物を持った訪日外国人客(インバウンド)が次々と降り立っていた。

 目立つのはアジアからの観光客。台湾から訪れた会社員のリー・ユエンチンさん(32)は3回目の来日で、中部の利用は初めてという。岐阜県高山市の城下町観光などをする予定で、「『古い町並み』や雪山を見るのが楽しみ」と話した。

コロナ禍から回復、他の主要空港と比べると…

 国際便が「ゼロ」になったコロナ禍を経て、中部空港が再び外国人の姿でにぎわうようになってきている。ただ、他の主要空港と比べると、その戻りは鈍く、水をあけられているのが実情だ。

 国土交通省によると、2024年の国際線冬ダイヤで、成田と関西がコロナ禍前の9割程度にまで回復し、羽田は3割増に転じている。円安を追い風に、首都圏や近畿圏の玄関口として、インバウンド需要を取り込んでいる。

 その一方で、中部空港は7割弱にとどまり、コロナ禍前にあった欧米便は冬ダイヤではゼロ。夏ダイヤもヘルシンキ(フィンランド)便のみだ。

 愛知県に本社がある、ある企業の社員は海外出張の際、「羽田を使ったり中部発の経由便を使ったりしている」と話す。

 中部空港会社の犬塚力社長は、コロナ禍を経てオンライン会議が浸透し、海外旅行には逆風となる円安が続いていることなどを念頭に、「日本から出国する人が減っている。成長産業であるインバウンドに来ていただくことが最大の課題だ」と話す。

開港めぐる紆余曲折、環境変化が影響も

 国際線の戻りが鈍い背景には、開港後の環境変化も一因に挙げられる。

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