米ホワイトハウスで1993年9月13日、イスラエルとパレスチナ解放機構の間の和平協定調印の後、イスラエルのラビン首相(左)に握手を求めるアラファト議長。中央はクリントン米大統領=ロイター
  • 写真・図版

 イスラエルによるガザ侵攻が続くパレスチナ自治区。5月のスペイン、ノルウェー、アイルランドに続き、スロベニアも今月、パレスチナを国家として承認すると表明しました。国連加盟193カ国中、パレスチナを国家として認めている国は、実は140以上にのぼり、認めていない米国や日本などは少数派です。その背景や今後の見通しについて、パレスチナ関係担当大使やレバノン大使を歴任した元外交官の大久保武さんに聞きました。

  • 【そもそも解説】アッバス氏率いるパレスチナ自治政府 何をめざす?
  • ガザでは吹き飛ぶ米欧の人道 三牧聖子氏の見方と立山良司氏の展望

 ――パレスチナは1988年に「独立」を宣言しました。どのような国々が承認しているのでしょうか。

 まずはパレスチナ独立国家の樹立を大義として掲げるアラブ諸国です。国連安全保障理事会常任理事国ではロシアと中国も88年に承認しています。

 93年には「オスロ合意」によってイスラエルとパレスチナが国家として共存する「2国家解決」を目指す方向性が示されます。これを機に、中東和平プロセスが始まり、パレスチナを国家承認することで和平交渉を後押しする機運が国際社会に生まれました。

 もちろん、パレスチナを国家承認すれば対アラブ外交をより円滑に進められるという側面もあるでしょう。

生殺与奪の権握るイスラエル

 ――なぜパレスチナは国家承認を求めてきたのでしょうか。

 国家樹立は民族の悲願です…

共有
Exit mobile version