東南アジア、東アジア、そして中東。三つの地域をつなぐ新たな経済連携の枠組みが、27日に立ち上がった。3者の狙いは異なるが、その結びつきに重要性を添えたのは、トランプ大統領のもとで単独主義の姿勢を強める米国の変容だ。
- ASEAN、中国や湾岸諸国と初の首脳会議 見据える「米抜き」秩序
「多極化という現実に対応したパートナー網の再構築に成功したことを、明確に示している」
26日に開幕した東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の冒頭。議長国マレーシアのアンワル首相は、ASEANと中国、中東の「湾岸協力会議(GCC)」による27日の首脳会議についてこう述べ、船出を歓迎した。
「オイルマネー」への期待も
ASEANを構成するのは、多くが中小の新興国・途上国だ。各国は外資を誘致し、製品供給網の一角となることで経済発展を果たしてきた。その主要な貿易相手の米国が、高税率を東南アジア各国に課した。自由貿易体制の盟主だった大国の変節を受け、ASEANは「米国抜き」の世界に備えた関係多角化を急いでいる。ASEANは今回、域内の物品貿易協定や、中国との自由貿易協定を秋に改定することも決めた。
湾岸産油国の「オイルマネー」に対する期待も高い。あるASEAN外交筋は「医療ツーリズムなどを通じ、域内への高所得者層の呼び込みが期待できる」と話した。
そんなASEANとGCCとが関係強化を加速させたのは2023年10月。初の首脳会議で、貿易や投資など経済面を中心とする包括的な協力枠組みを採択し、関係を深めることを確認した。
湾岸諸国が米国に抱く危機感
湾岸諸国は石油や天然ガスに…