千葉県市原市などは、通学中の児童や生徒らが交通事故に巻き込まれるのを防ごうと、「市原版ヒヤリハットマップ」を作成した。同市は、全国の小学校の通学路を対象とした2021年の文部科学省の安全点検で、県内では千葉市に次いで危険箇所が多かった。マップに、市原市内の小中学生やその保護者らから寄せられたヒヤリハット体験を示すことで、交通事故が潜む場所を分かりやすく「見える化」した。
マップ作りは、自動車関連のトヨタ・モビリティ基金(東京都)、豊田都市交通研究所(愛知県豊田市)と連携して取り組んだ。
昨年9~11月、市原市内すべての小学校の4~6年生と全中学校の生徒、その保護者のほか、教職員や11の民間事業所の従業員ら計約2万9千人を対象にインターネットで調査を実施。ヒヤリハット体験計3436件の回答を得た。
同研究所のシステムを使ってヒヤリハット体験をリスク評価し、危険エリアを4段階に色分けしてマップに表示。エリアをクリックすると、「朝 自転車に乗っている時に、前からきた自動車と正面衝突しそうになった(狭い道、視界の悪い坂やカーブなどで)」などと、いつ、どんな状況で発生したのか、具体的な内容が表示される仕組みになっている。
通学路の安全を巡っては、21年に八街市で小学生の児童5人が飲酒運転のトラックにはねられて死傷した事故を受けた文部科学省の全国調査で、市原市では県内で千葉市に次いで多い281カ所の危険箇所が確認された。これを受け、市原市は対策に乗り出した。
市によると、市内で登下校中の児童・生徒が交通事故に遭った件数は22年度は23件、23年度は22件あったという。小出譲治市長は「マップを広く共有し、通学路の点検や交通安全教育に活用して交通安全の向上に努めていきたい」と話した。
マップは今月から市のホームページで公開している。(前田基行)