新聞やテレビが「オールドメディア」と敵視されるのは、日本だけの現象なのか。海外や日本で記者として活動してきた米ニューヨーク・タイムズの素子リッチさん(55)に、メディアを取り巻く世界の現状や、日本の課題を尋ねた。
もとこ・りっち 1969年、米国カリフォルニア州出身。アメリカ人の父と日本人の母を持つ。フィナンシャル・タイムズ紙、ウォール・ストリート・ジャーナルを経て、2003年からニューヨーク・タイムズで勤務。16年~24年の間、同社東京支局長。現在は書籍の執筆のため休職中で、次期ローマ支局長。
「特権性」への批判
――日本では新聞やテレビに対して「オールドメディア」という揶揄(やゆ)がされていますが、アメリカではどうですか。
長い歴史のある新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアは「Mainstream media」(主流メディア)の頭文字から「MSM」と呼ばれ、批判的な意味で使われています。
アメリカに限らず、世界中のメディアがいま、日本のオールドメディア批判と似たような状況に直面しています。
たとえば、新聞1面の記事を…