会見で語るNTTドコモの前田義晃社長=2025年5月29日午後5時16分、東京・紀尾井町、黒田健朗撮影

 NTTドコモが29日、住信SBIネット銀行を買収する方針を発表した。通信大手4社で唯一、傘下に自前の銀行を持たないドコモにとって悲願の参入となる。今後、各社の経済圏の拡大をめぐる競争がますます激しくなりそうだ。

 同日午後4時半から都内で会見を開き、NTTの島田明社長、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長、NTTドコモの前田義晃社長、住信SBIネット銀行の円山法昭社長が出席。狙いや展望を語った。

 住信SBIは、三井住友信託銀行とSBIホールディングスが株式を34%ずつ保有する。ドコモは30日から株式公開買い付け(TOB)を開始し、買い付け価格は一株4900円とする。さらにSBIから保有する全株の譲渡を受け、約66%の株式を取得して子会社化する方針。三井住友信託は株式の保有を維持する。

 「銀行参入で、ドコモの金融サービスがフルラインナップでそろう」。この日会見したドコモの前田義晃社長は、そう胸を張った。住信SBIをパートナーに選んだ理由を「経営基盤の安定性、収益性に加え、高度なAIデジタル技術などの先進性を備えた銀行でもある」と話した。銀行への参入によって、顧客基盤の強化や金融事業の成長の加速をめざすと説明した。

 親会社NTTの島田明社長はかつて、銀行参入の最適なパートナーがなかなか見つからない状況を「帯に短したすきに長しだ」と語っていた。この日の会見では、店舗やATMといった銀行機能は不要だとの考えを示し、「(住信SBIは)帯にもなるし、たすきにもなる。最高のパートナーになると思っている」と話した。

 今回の買収に伴い、NTTが…

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