満開の桜のなか、OSK日本歌劇団のレビュー「春のおどり」が4月6日、大阪松竹座(大阪市中央区)で開幕した。おととしの創立100周年の舞台を成功させたトップスター楊琳(やんりん)さん、娘役トップスター舞美(まいみ)りらさんの退団公演。14日まで上演され、7月に京都・南座、8月に東京・新橋演舞場でも退団公演が予定されている。
「待ってました!」のかけ声が威勢よくとんだ大阪松竹座での初日公演を観劇したエッセイスト、青木るえかさんに舞台評を寄せてもらった。
青木るえかさん舞台評
春の昼下がり、大阪、道頓堀。あふれんばかりの観光客が、大阪松竹座のエントランスに掲げられた華やかな写真を見て口々に「OSKや」と言って通り過ぎる。正面入り口の横にはさりげない看板が出ている。
「本日初日 夜の部 満員御礼」
OSK日本歌劇団(以下OSK)を二十年ぐらい至近で見てきた者として「夢でも見てるのか」と言いたいような景色だ。毎年春には大阪松竹座で「春のおどり」を上演するOSKだが、去年までは看板に目を留める人も少なく、留めたって「宝塚か」と言われて終わりであった。誰もOSKのことなど知らなかったのだ。こういった公演評を書くにしても「OSK日本歌劇団とは大正十一年設立、創立百年を超える──」というところから始めて「宝塚と似てるが違う」ということを縷々(るる)説明しなければならなかった。
それが今、道頓堀をぶらぶら歩いている若者が「OSKや」と言う。そしてその公演初日に席が完売する。あまり言いたくないが、今までは「当日ふらっと出かけても前のほうのいい席がいくらでも買えた」という状況だった。チケット転売問題なんてものとは無縁の劇団だったのだ。それが完売。
「テレビで見ていたUSKは実在するのだ」
はっきりいってそれはすべて…