韓国の「地方消滅」の現状などについて語る、韓国雇用情報院研究委員の李湘浩さん=2025年1月10日、韓国・陰城郡、稲田清英撮影

【連載】「インソウル」の呪縛 超一極集中の韓国 第6回

 日本で注目されている「地方消滅」という言葉は韓国でも定着し、ソウルと地方の格差の拡大は深刻な社会課題として受け止められています。地方の大都市部にまで「消滅の危機」が迫る背景には何があるのか。どんな処方箋(せん)がありうるのか。韓国の地方の現状に詳しい韓国雇用情報院・研究委員の李湘浩(イサンホ)さんに聞きました。

【連載】「インソウル」の呪縛 超一極集中の韓国

 韓国では、人口(約5170万人)の半分が首都圏に暮らしています。多くの若者がめざすソウルの大学を指す「インソウル(In Seoul)」という言葉が象徴するように、ソウルにいてこそ成功への道も開けるという「呪縛」が社会を覆っています。「超一極集中」の韓国のリアルを追いました。

 ――韓国雇用情報院の昨年の報告書では、地方の大都市にも「地方消滅」の危機が拡大していると指摘されています。

 釜山や大邱といった大都市の一部がそうですね。地方消滅という概念は人によっても違うと思うのですが、私はシンプルに、少子高齢化の進行など人口構成の不均衡がどの程度深刻なのかを重視しています。

 例えば釜山は人口300万人を超える大都市ですが、市内でも昔からの都心部にあたる地域の中には、多くの空き家がみられるなど農村部とも大差ないような状況もみられます。若い世代も出てしまい、学校も廃校になり、豊かではない高齢者が残っているような地域があります。

 釜山は全体の人口が減っているので、再開発への投資も十分ではありません。釜山が急に消滅してしまうという話ではないですが、そうした大都市の中にも、厳しい地域は広がってきているということです。

地方が衰退する三つの理由は

 ――なかなか深刻な事態ですね。

 「消滅危険地域」について…

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