大阪府泉南市の添田詩織市議(36)からSNSの投稿でヘイトスピーチを受けたとして、在日コリアンの李香代(イヒャンデ)さん(59)が損害賠償や投稿の削除を求めた訴訟の本人尋問が10日、大阪地裁(山本拓裁判長)であった。
添田市議は「ネットで出てきた情報をまとめただけ」で「差別意識はない」とし、李さんは「犯罪者のようにとり上げられている投稿を見て恐怖で震えた」と述べた。
添田市議は昨年2月、Xへの投稿に朝鮮学校を支援する活動をしていた李さんの顔写真4枚を載せ、別の投稿で「従兄弟は在日留学生捏造スパイ事件で死刑判決を受けた」と書いた。いとこは韓国で死刑判決を受けたが、再審で無罪となった。
李さんは市の事業も請け負うイベント会社の役員を務めている。添田市議はこの日の尋問で、「朝鮮学校は朝鮮総連の傘下にあり、拉致事件にも関与している。そんな活動を熱心にされている人物が役員にいると市民に示したかった」「公金支出に関心がある市民への情報提供だった」などと主張した。
添田市議はまた、原告代理人からの「北朝鮮がいけない国というのはあなたの主張か」という問いに、「日本人の一般見解」と答え、北朝鮮や中国を挙げて「日本を脅かす国」などと述べた。「市民のため追及しているのに『ヘイト議員』と断定されて、こっちの方が気がめいる」とも話した。
李さんは尋問で「役員は何人もいるのに在日コリアンの私だけ標的にされたと感じた」と述べた。
訴訟で原告側は、朝鮮学校に子どもを通わせた李さんの活動と会社とは「全く関係ない」とし、添田市議が約8万2千人のフォロワーがいるXで、支持者の差別意識をあおったと主張している。
被告側は「在日朝鮮人の権利活動を熱心に行う団体の重要人物が(会社の役員に)いるとなると、市民としては大きな疑問を抱く。自分たちの税金が適切に使われているのか懸念することは誰も否定できない」などと反論している。
訴訟はこの日に結審し、判決は10月24日に言い渡される。