メタバース模擬裁判での法廷内のイメージ=刑事司法未来提供

 裁判所はどこか近寄りがたいところ? そんなイメージを払拭(ふっしょく)して裁判を身近に感じてもらおうと、研究者らでつくる一般社団法人「刑事司法未来」が、バーチャル空間で刑事裁判を体験できるソフト「メタバース模擬裁判」を開発した。

 保険金目的で自宅に放火したとする事件の法廷。裁判官が「被告人は前へ」と促すと、被告人が証言台の前に立つ。「名前はなんといいますか。本籍地はどこですか」――。バーチャル空間での公判がこう進んでいく。

 参加者はアバター(分身)を作り、自身の立場を裁判官、裁判員、弁護人、検察官、被告人から選ぶ。証言台から、法壇から、と視点を変えることもできる。

 裁判員の年齢は2023年、20歳以上から18歳以上に引き下げられた。「全ての市民が、18歳になる頃には一度は模擬裁判を経験したことがある。そんな社会を実現させたい」。代表理事で刑事法学者の石塚伸一・龍谷大名誉教授は、ソフト開発のねらいを語る。

 ただ19年に内閣府が18歳以上の3千人に実施した世論調査では、裁判の見学や傍聴をしたことがある人はわずか11.9%だった。

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 裁判員裁判の対象は法定刑に…

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