「すみません、トウモロコシはもう無いんです」
14日、札幌市清田区の山あいでスイートコーン農園を営む男性が、直売所を訪れる客に謝っていた。「あの被害がなければ」と言う。
数日前、男性が畑の見回りをしていると、見覚えのある足跡を見つけた。
たどっていくと、いくつかの場所で、トウモロコシがまとめて根こそぎ倒れていた。可食部は食べられ、芯が周りに散らばっている。
アライグマの仕業だ。
年間の収穫量10万本ほどのうち、昨年は約3千本が被害にあった。畑の周りに電気柵を張っても、侵入は阻止できていない。自治体での駆除や防除を増やして欲しいと思う。
「アライグマの増え方を考えると、個人で対策するには無理がある」
◇
アライグマは北米原産の特定外来生物。ペットとして持ち込まれたものが野生化したとされる。
環境省の「鳥獣関係統計」によると、外来生物法に基づいて捕獲されたアライグマは、2007年度からの10年間で、8179頭から3万8197頭に増えた。農林水産省の調査では、23年度の農作物の被害額は全国で4億8800万円に上る。
北海道では、23年度の捕獲数が約3万6千頭、農業被害額は約1億7400万円といずれも過去最高を更新した。スイートコーンが約4400万円と全体の約4分の1を占めた。
◇
北海道大学名誉教授の池田透さん(66)がアライグマの問題を知ったのは、大学院生のころだった。
都市部に入り込むキツネの行動を研究していたが、助教授に同行して訪れたアメリカで、現地の研究者から言われた。「こっちじゃアライグマだな。キツネはその外側にいる」
帰国後の1989年、新千歳…