■シリーズ「進化する薬のいま」
関西地方に住む女性(51)は今、食道がんの治療をしている。4週間に1回、免疫チェックポイント阻害剤の「オプジーボ」を使っている。
昨年7月、食道がんが分かった。自覚症状はなかったが、年に1回の健康診断で、胃の再検査に。胃カメラや病理検査の結果、食道がんの「ステージ2」と伝えられた。
春に子どもが就職して家を出て、夫と2人暮らしが始まってすぐのことだった。「自分の時間を好きなことに使って楽しもう」と思っていた矢先。「なぜ自分が?」
でも不思議と、「今年でよかった」とも思った。親として一番大切にしていた、子どもを独り立ちさせることは終えていたから。「子どもが独立していて良かった」
パートを休業して、治療が始まった。他の臓器やリンパ節への転移は認められず、抗がん剤でがんを小さくしてから、手術をすることになった。
入院して3種類の抗がん剤を点滴で投与。がんが小さくなったのを確認して、10月に食道のほぼすべてを切除し、胃を食道の代わりにする再建手術をした。
術後の病理検査でも、他の臓器やリンパ節への転移は認められず、少しほっとした。
「これで終わり。あとは、経過観察だ」
ところが、主治医から、オプジーボを使う治療の提案を受けた。
まだ治療が必要なのだろうか。手術前に少し聞いていたが、戸惑った。
「手術でがんを取り切れなかったのですか」
「再発率が高い」医師の言葉 よぎった不安と選んだ治療
主治医に確認すると、「がん…