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被告人質問に答える小島智信被告=2025年7月11日、東京地裁、絵と構成・小柳景義
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 フィリピンを拠点とした特殊詐欺グループが「ルフィ」などと名乗って強盗を指示した事件で、強盗致傷幇助(ほうじょ)罪などに問われた小島智信被告(47)の裁判員裁判の判決が23日、東京地裁であった。板津正道裁判長は「強盗を連続的に行う上で被告の果たした役割は非常に重要だった」として、懲役20年(求刑懲役23年)を言い渡した。

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 判決によると、小島被告は、2022年10月に東京都稲城市の住宅で現金約3500万円が入った金庫が奪われた事件など、三つの強盗事件で実行役を集めた。グループが起こした特殊詐欺事件では、標的に接触してキャッシュカードなどをだまし取る「受け子」の募集や、現金回収の指示役を担った。

 弁護側は、被告のグループ内の地位は「数ある部署の一つのリーダーに過ぎない」と主張していた。だが判決は、被告がグループのトップだった渡辺優樹被告(41)と直接話ができる数少ない「側近のような立場」で、グループの拡大に重要な役割を果たしたと認定。実行役を集める役割を担ったことで「被害者だけでなく、多くの犯罪者を生み続けた点でも強い非難に値する」と述べた。

 その上で判決は、一連の事件について、海外にいる主犯格が多くの若者を使い捨てにして、市民の安全を脅かした「新しいタイプの重大犯罪だ」と指摘。同種の犯罪を抑止するためにも、強盗を主導したわけではない被告にも厳しい処罰が必要だとした。

 ただ被告が起訴内容を認め、他の幹部らの関与を具体的に述べて捜査に協力した点から、「組織の実態解明に相当貢献しており、有利に考慮されるべきだ」とした。

 事件をめぐっては、渡辺被告のほか、強盗で実行役に犯行を指示したとされる藤田聖也被告(41)、強盗計画を立案し「ルフィ」などと名乗って実行役へ指示していたとされる今村磨人被告(41)らも起訴された。小島被告を除く3人については、公判が始まる見通しが立っていない。

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