アイスコーヒーを「レイコー」と呼ぶ人は、絶滅寸前――。UCCグループのUCC上島珈琲(神戸市)が実施したアイスコーヒーに関する調査で、そんな実態が明らかになった。世代間の格差も浮き彫りに。人によっては聞くだけで涼しさを感じるこの言葉、もはや死語なのか。
同社によると、調査は4月26日~5月1日にネットで20~60代の男女計600人(関東300人、関西300人)から回答を得た。
「最も頻繁に使うアイスコーヒーの呼び方」を「アイスコーヒー」「レイコー」「アイス」「アイコ」「その他」から選ぶ質問で、関東、関西ともに「アイスコーヒー」が全世代で80~90%台を占めた。
一方、「レイコー」と答えた人は関東には300人中、ゼロ。関西でも60代で10%にとどまり、50代6・7%、40代5%、30代で1・7%、20代では0%と、若い世代ほど「レイコー離れ」が顕著だ。
「レイコーの呼び方を知っている」という人は、関東で63・3%、関西で80・3%。認知度は関西のほうが高かった。
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そもそもレイコーの語源は何なのか。
同社の担当者は「明治時代にはアイスコーヒーを『冷やし珈琲(コーヒー)』と呼んでいたことは、当時の小説から見て取れる」。だがいつからレイコーと呼び始めたのか、レイコーの語源が冷やし珈琲なのかは不明だという。
また「昔から大阪を中心に、レイコーが愛称として広まったとみられる」とするが、なぜ西高東低なのかははっきりとはわからないという。
関西のコーヒー事情に詳しいライターの田中慶一さん(48)も「レイコーの呼び方の決定的な発祥は、はっきりとしていない」と話す。
田中さんが60年近く店頭に立つ大阪の喫茶店主に取材したところ、「昔は『冷コーヒー』というメニュー名で、お客さんが略して『レイコー』『レイコ』と呼ぶようになった」と話したという。
一方、田中さんは「神戸ではミルクコーヒーを『ミーコ』と呼ぶようになった。これは店員が厨房に注文を通す略称をお客さんがまねたことで広まったと言われている」といい、「喫茶店員が厨房に注文を通すときに『レイコー』と呼び、それを聞いたお客さんがまねをして広まったのかもしれない」とも推察する。
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お店で働く人に聞いてみると…
UCCグループの運営するカフェで働く大西蘭さん(30)は2017年4月、神戸市中央区の「UCCカフェプラザ 神戸交通センタービル店」で働き始めたころ、初めて客から「レイコー」と注文された。
意味が分からず、上司に聞い…