「牛乳から世界がかわる」を手にする小林国之さん=2025年4月7日、北海道大農学部、松田昌也撮影

 「牛乳から世界がかわる 酪農家になりたい君へ」という本が、農山漁村文化協会(農文協)から出版され、売れ行きが良い。経営環境の厳しさなどから、離農する酪農家が少なくないなか、なぜ〝酪農本〟が人気なのか。

 日本の酪農が直面する課題は多い。ロシアのウクライナ侵攻で、輸入に依存する飼料は高騰。乳牛の飼育や傷みやすい牛乳の流通は厳格な管理が要る。給食用は学校が長期休みの時期は需要が減る――。

 「一杯の牛乳から世界が見える」。そう考えるのは、執筆した北海道大農学研究院の准教授・小林国之さん(50)だ。農業や農村振興を社会経済的な視点から研究し、欧州の酪農・生乳(せいにゅう)流通にも詳しい。約70年続いた朝日新聞のコラム「経済気象台」で6年間、筆者の一人を務めた。

 本の中では、「バターは不足…

共有
Exit mobile version