音のない世界、そこには「手話」がある。まずは知ることから、触れることから、始めませんか?
2月にANN系列で放送された北海道テレビ放送(HTB)制作のドキュメンタリー番組「テレメンタリー2024 世界一きれいな言葉」はそう語りかける。
ディレクターを務めた喜多和也さん(28)に、制作の経緯や番組に込めた思いを聞いた。
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――取材や制作を始めたきっかけは?
司法記者をしていた2022年、北海道札幌聾(ろう)学校に通う児童が道を相手取り、裁判を起こしました。幼い頃から使い慣れた「日本手話」による授業を受けられるようにしてほしいとの訴えです。
取材を深めようと思い、自分でも手話を勉強し始めました。取材したい相手の母語が英語だったら英語を学びますよね。それと同じです。
――それまで手話には詳しくなかったんですか。
小学生の頃、祖母と手話サークルにすこし通った思い出はありますが、ほとんど知らなかったですね。
取材を通して、日本語と言語体系の異なる日本手話と、日本語の文法に合わせる「日本語対応手話」があると知った。日本手話しかわからない児童に対し、日本語対応手話で授業をするのはおかしいと思ったんです。
――今回の番組はすんなりと完成しましたか。
最初は裁判を軸に作ったけど…