中国軍が23日、「台湾独立を目指す勢力への懲罰」だとして、台湾の周辺で軍事演習を始めた。

 なぜ、中国はこのタイミングで、台湾周辺での大規模な軍事演習に踏み切ったのか。両者の関係は今後、どうなるのか。防衛研究所の山口信治・主任研究官(中国の安全保障)に聞きました。

  • 「警告」でなく「懲罰」中国側の威嚇拍車 総統就任演説から2日半

 ――今回の軍事演習に込められた中国側の意図は。

 20日にあった、台湾の頼清徳(ライチントー)新総統の就任演説を受けた反応と言える。中国は、自国に厳しい姿勢をとる頼氏を信用してはいないものの、「蔡英文(ツァイインウェン)前政権の路線から大きくは変わらず、抑えめのメッセージを出す」と想定していたのではないか。それを踏み越え、民主主義の台湾として中国への対抗を打ち出した。相当「気にくわない」内容だったのだろう。

 頼氏の就任を受け、何らかの軍事演習を行う用意が中国側にはあったはずだ。その選択肢から、規模や見せ方の面で「脅し」になる内容のものを選んだと言える。

 ――演習の特徴は。

 演習内容は、中国の人民解放軍が進めてきた、陸海空など各軍による「統合作戦」の延長上にある。台湾への上陸能力を見せつけるというより、打撃能力と封鎖能力を見せるものだ。即応性を重視し、哨戒を行うなど、以前と比べて大きな変化はない。台湾を広く囲む形の実施区域も、従来とさほど変わらない。

 ただ、中国側が発表した演習名には「2024A」とある。同様の演習が常態化する可能性が見て取れる。

日中関係への影響は?

 ――そもそも、軍事演習の目…

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