劉彦甫さん=2024年2月27日、オンライン画面から

 中国が台湾を攻撃する「台湾有事」の危機が迫るから、米海兵隊の拠点が沖縄に必要だ――。米軍普天間飛行場の辺野古移設について、そんな説明がされることがあります。でも、台湾出身のジャーナリスト・劉彦甫さんの見方は少し異なります。「日本と中国の姿勢には共通点がある」。台湾から見た辺野古問題について、劉さんに聞きました。

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リュウ・イェンフ

台北市生まれ。幼少期から日台を行き来し、主に長崎県佐世保市で育つ。早大大学院修士課程修了(政治学)。専門は台湾政治や国際政治。東洋経済新報社解説部記者

 中国の軍拡に対し、日本や台湾では防衛力の強化が必要ですが、その議論を進めるために各国の軍事関係者や専門家があおった面があります。台湾の人たちが緊張した日常を送っているように日本からは見えるかもしれませんが、実際は淡々と落ち着いて生活しています。長年中国の圧力に対応して慣れてきたほか、日米台で備えが進み、「有事」を先送りし続けられると思っているからです。

 台湾にとって重要なのは、現状を維持して自由や民主、平和を守ることです。そのために軍事に加え、外交、経済、人的交流など様々な手段での対中抑止が必要です。そのなかで、沖縄に基地が必要かを台湾は言う立場にありません。日本社会や日米間の問題で、その結果に合わせて対応します。

 台湾の政策担当者に聞くと、沖縄の基地がいざというときに機能するかは注目しています。基地が健全に機能するには住民の支持が不可欠で、機能しない可能性があるならば、リスクとして備えなければならないためです。

 中国、米国、日本という大国…

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