中国の政府機関が世界の大手企業トップらを招いた国際会議「中国発展ハイレベルフォーラム」が23日、北京市で始まった。開幕式に登壇した中国の李強(リーチアン)首相は、トランプ米大統領の関税政策などを念頭に「今日の世界経済はますます分断が進み、不安定性と不確実性が高まっている」とした上で、「こうした時こそ各国が市場をより開放することが必要だ」と主張し、外資企業に中国市場への積極的な投資を呼びかけた。
同フォーラムは毎年開かれ、主催者が発表した名簿によると、今年は昨年に続き米IT大手アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)や半導体大手クアルコムのクリスティアーノ・アモンCEOらが参加。日本からも日立製作所やみずほフィナンシャルグループのトップらが招かれた。
開幕式で李氏は「中国は責任ある大国として、経済のグローバル化の正しい方向を堅持する」と強調。金融や通信、医療、教育などの分野で市場開放をさらに進めるほか、多くの外資企業が懸念する知的財産の保護などの問題を「積極的に解決する」と語った。
外資への積極的なアピールの背景には、低迷する国内経済と急速に冷え込む外資の対中投資がある。外資企業による中国への直接投資額は2021年をピークに急減しており、24年は前年比9割減だった。国内では個人消費が低迷し、外需もトランプ関税の直撃を受ける中、中国政府は外資企業の受け入れに積極的な姿勢をアピールしている。