パレスチナ自治区ガザ北部のジャバリヤ難民キャンプで2024年2月22日、戦闘でがれきと化した街を歩く人たち=ロイター

 イスラム組織ハマスのイスラエルへの越境攻撃をきっかけに始まった戦闘は、7日で1年が経つ。パレスチナ自治区ガザが主戦場だった戦闘は、今や隣国を巻き込む地域紛争へと発展し、国際秩序を大きく揺るがしている。

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 「イスラエルには、自国と国民を守る権利がある。テロを正当化することはできない。イスラエルの安全保障に対する我が政権の支持は揺るぎない」。昨年10月7日、ハマスの攻撃を受け、イスラエルの最大の後ろ盾である米国のバイデン大統領は、演説でイスラエル支持の姿勢を鮮明にした。

 その言葉通り、米国は当初、停戦をめぐる国連安保理の決議案に拒否権を連発。ガザでのパレスチナ人の死者が4万1千人を超え、人道危機が深刻化している今も、イスラエルへの武器支援を続けている。英仏独といった欧州の主要国も、イスラエルの自衛権を認める基本姿勢は変わっていない。

 米欧をはじめとする西側諸国は、ロシアのウクライナ侵攻における民間人の被害を厳しく非難し、強力な経済制裁を科してきた。ガザでの戦闘と単純な比較はできないが、米欧から植民地支配を受けてきた国が多いグローバルサウス(新興国・途上国)にとっては、西側のこうした態度は「二重基準」に映る。人権尊重や法の支配といった西側諸国が重視してきたリベラルな価値観は今、急速に説得力を失っている。

西側諸国の「二重基準」

 一方、停戦や事態の解決に向…

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