外国人労働者の受け入れ拡大をめざす入管難民法改正案をめぐって、横浜中華街などの華僑社会に動揺が広がっている。永住資格の取り消しのハードルを下げる規定が盛り込まれているからだ。
30日の参院法務委員会に「横浜華僑総会」顧問の曽徳深(そうとくしん)さん(84)が参考人として出席した。約20分意見を述べた後、議員からの質問に答えた。
政府は、技能実習に代わる外国人材受け入れの新制度を創設することに伴い、今回の改正案を提出した。21日に衆院を通過した改正案には、税金や社会保険料を故意に支払わない場合や、一定の罪を犯した場合などに永住許可を取り消せるとの規定が盛り込まれている。
「横浜中華街は日本人とつくった」
曽さんは委員会で「横浜中華街は中国人だけがつくった街ではなく、日本人と一緒につくった」と語り、「(改正案が成立すれば)今後の人材確保に大きな影響が出る。中華街の存続に関わる大きな問題だ」と懸念を示した。
華僑社会が過去に経験した歴史も紹介した。
1972年の日中国交正常化前は、大陸系の人は結婚式後に警察官がやってきて、「なぜすぐに婚姻届を出さないのか」と言われるケースもあったという。
正常化後は、監視されていると感じるケースは減ったが、自宅の10メートル先で在留カードの不携帯をとがめられた人もいたという。永住資格取得に苦労した人の話も紹介した。
「税を滞納すれば日本人と同じペナルティーを受ければいい。外国人だけに特別に付け加える必要があるのか」
改正案の内容を知って焦った
曽さんが改正案の議論を知っ…