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 1954年に芦屋で結成され、国内外で知られる前衛美術グループ「具体美術協会」(具体)の活動を振り返る展覧会「具体美術協会と芦屋、その後」が、芦屋市立美術博物館(兵庫県)で開催中だ。

 具体は大阪万博(70年)に参加し、華やかなパフォーマンスで盛り上げた。同館が所蔵する50点余りの作品を通じて18年間の活動を振り返り、大阪万博への参加に向けた会員同士のやり取りも紹介する。

「人のまねをするな」

 具体を主宰したのは、芦屋市在住の前衛画家吉原治良(じろう)。吉原は「人のまねをするな」「これまでになかったものを創れ」と会員を指導した。

 展覧会では、吉原の急逝で72年に解散した具体の活動を三つの時期に分けて紹介している。

 「初期」(1954~57年)は、グループ創成期にあたる。展示は、55年と56年の夏に芦屋公園で開催された野外美術展への出品作から始まる。

 白髪一雄の「どうぞお入り下さい」は、赤い丸太を円錐(えんすい)形に組み、内側から斧(おの)で切りつけた作品。

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ホールには、白髪一雄「どうぞお入り下さい」(右側奥)などが展示された=芦屋市の芦屋市立美術博物館

元永定正の「作品(水)」は、着色した水を入れたポリエチレン袋をつるす。55年に東京で展示した田中敦子の「作品(ベル)」は、スイッチを押すとベルの音が移動し、聴覚で空間の広がりを認識させる。どれも「これまでにない」表現を目指したものだ。

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吉原治良「白地に黒い円」(左手前)などの絵画が並ぶ=芦屋市の芦屋市立美術博物館

 「中期」(1957~65年)は、フランスの美術批評家で、「アンフォルメル(非定形なるもの)」を提唱するミシェル・タピエが、具体を評価し、活動が国内外に広がっていく時期だ。白髪は足で絵を描き、嶋本昭三は瓶に入れた絵の具をカンバスに投げつけるなど、初期の会員の表現は先鋭化した。

 展覧会を担当した大槻晃実学…

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