福岡伝統の夏祭り「博多祇園山笠」。街を駆け抜ける舁(か)き山笠(やま)が7月15日に開催される。
「筥崎(はこざき)(方向)に1センチ!」「手離さんで!」
5日、福岡市博多区古門戸町の歩道沿い。人形師・中村弘峰さん(39)=同市中央区=の指揮の下、土居流の舁き山笠に人形が飾り付けられていた。
舁き手らが声を掛け合いながら慎重に進める。3時間を超える作業を経て、高さ約4.5メートルの色鮮やかな舁き山笠が完成した。
今年の題材は「孫悟空」。山笠の中央に座って遠くを見つめている。「未来の舁き手となる子どもたちに、山笠を好きになってほしい」。そんな願いを込め、記憶に残りやすい題材を選んだ。
100年以上の歴史を誇る博多人形師の一家に生まれた。幼い頃から山笠に参加し、人形師として活躍する祖父や父の背中をずっと見てきた。保育園の卒業文集には「人形師になる」と書いた。
大学では人形作りの幅を広げ…