精子を凍結保存していた性別変更後のトランス女性と、シスジェンダー女性のカップルが、生殖補助医療を受ける場合の「同意書」。はらメディカルクリニックが独自に作成した
  • 写真・図版

 生物学上の「父」が女性に性別変更後に生まれた子どもと、この「父」の間に法的な親子関係を認める――。最高裁が21日、そんな初判断を示した。今回のケースでは、トランスジェンダーの女性が凍結保存していた精子が使われたが、同じようにしてわが子を持とうとするカップルは他にもいる。そうした人たちの「人生の選択肢」を守ろうと、模索を続ける医療機関がある。

  • 女性カップルの子に「父子関係」、最高裁が認める 性別変更後に出生

 「すべては患者さんの希望から始まりました」。そう話すのは、不妊治療を専門とする「はらメディカルクリニック」(東京都渋谷区)の宮崎薫院長だ。患者側の了解を得たうえで、トランス女性の凍結精子をめぐる生殖補助医療について、初めて取材に応じた。

 2020年、同院が開いた体外受精に関する説明会の後、あるカップルが相談を寄せた。

 2人は、トランス女性と、出生時の性別で生きるシスジェンダーの女性(シス女性)で、いずれも30代。トランス女性は、性別を移行するための医療を受け、戸籍上の性別を女性に変更していた。

「強い結びつき」でも即断できず

 一般的に、性別移行のために…

共有
Exit mobile version