さばさばした口調で、速射砲のように質問に答え、時に言動が物議を醸すインフルエンサーのひろゆき(西村博之)さん。能登半島地震以降、能登をたびたび訪ね、今夏、一定額を払うことで、毎月、能登の食品が届く「能登復興支援サブスク(サブスクリプション)」を始める。「めんどくさいけど、やる人がいないので、仕方なくやる」とひろゆき節で言うが、根っこには「石川と能登だけの話にしてはいけない」との思いがある。
「これ以上、『被災した人たち、がんばってください!』というのではなく、周りの僕らが、がんばらないといけないんじゃないかと思う」
23日、金沢市でのサブスクの発表会見で、ひろゆきさんはそう述べた。
周囲からは「メディアが多い東京で発表しては?」と提案されたが、「石川で開く」とこだわった。前日いた大阪から深夜バスで金沢にやって来たという。
「偽善と思われても」
サービスは、月額5500円(送料1200円込み)、半年分の3万3千円を一括前払いすれば加入でき、ひろゆきさんらが目利きした被災業者の食品が届けられる。
石川県七尾市で工場が被災した水産加工会社の高級カニカマ、能登大納言小豆を使ったきんつば、地震と豪雨で二重被災した珠洲市の塩田村の塩を使った加工品……。
安く商品を仕入れて高く売ることでビジネスは成り立つ。しかし、今回のサブスクでは「偽善と思われても、利益を得ることが目的ではない。まずは赤字にならない程度でいい」という。
被災業者からまとまった食品の製造枠を前払いでサブスク運営会社が買い取る。適正な価格で、だ。あらかじめ、食品が買い取られるという安心感を届けることで、被災企業は製造に集中でき、再建につながる――という青写真を描く。
どんな食品が届くか、わからないようにすることで、被災企業とサブスク利用者の偶然の出会いを演出する「橋渡し役」にもなりたいという。
能登で出会った女性
能登では人口流出が続く。住民基本台帳では、2025年4月末の能登6市町の人口は11万5687人。震災直前の23年12月末より約1万人減った。「出る人には、出て行く理由があるから仕方ない。人が残れる場所をつくれるかどうかでいくと、自力は難しいから、このサブスクを含め、周りの人たちが自力でいけるように手助けをする。そうすれば、被災した人たちが戻ってそこで働けるようになると思う」
「論破王」と呼ばれ、言動で物議もかもしてきたひろゆきさんがなぜ、能登の支援に熱くなるのか。記者が尋ねました。
念頭にあるのは、能登を訪れ…