会社員のこうすけさん(35)とまさひろさん(37)は、2018年から福岡市内の一軒家で愛犬の「リク」と暮らしている。居間の壁には、旅先や日常のスナップ写真や、友人たちを招いて撮った披露宴での写真がところ狭しと飾られている。幸せな生活だが、2人には将来への不安があった。
家もローンも、名義を持つのはこうすけさん一人。もしものことがあったとき、「まさひろさんは住み続けられるのだろうか」ということだ。
2人が家を買うまでには、周囲のカップルとは違うハードルがあった。
男性同士で、法律上の配偶者でないからだ。
収入を合算したローンは利用できず、比較的収入が安定していたこうすけさんが、1人分の限度額の範囲内でお金を借りた。玄関には2人の名字を掲げても、名義は共有できなかった。
新居で暮らし始めた直後に福岡市のパートナーシップ宣誓制度が始まると、すぐに登録した。市立病院での病状説明や市営住宅の入居申し込みの際に、2人の関係を証明できる制度だ。最近では他自治体の病院でも使える連携も進む。
でも、登録して、法律婚で得られるメリットの大きさを逆に実感した。
生命保険を契約する際、受取人に同性パートナーを指定できる商品は検討した約30商品のなかの3、4件だけだった。契約時に2人の関係の証明としてパートナーシップ宣誓制度の受領証を提出したが、さらに第三者の署名を求められた。
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