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ソウルの韓国大統領府で2024年12月7日、国民向けに談話を述べる尹錫悦大統領。大統領府提供=ロイター

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対する弾劾(だんがい)訴追案の採決は、与党議員の大半が退席し、不成立となった。ただ、尹氏への国民の信頼は失墜しており、政権がレームダック(死に体)化する公算が大きい。日韓や日米韓の協力にも打撃になりそうだ。

  • 韓国・尹錫悦大統領の弾劾訴追案は不成立 厳しい政権運営は変わらず
  • 「レームダック」化する韓国・尹大統領 日韓関係の停滞は避けられず

行き詰まった政権運営、頼った「非常戒厳」

 「今後の国政運営は、わが党(与党)と政府が共に責任を持つ」。尹氏は採決を前にした7日午前に出した国民向けの談話でこう言及した。

 尹氏が弾劾に直面するまでに追い込まれた大きな要因は「独善的」とされる政治手法にある。その影響で今年4月の総選挙で与党が大敗し、尹氏の支持率も20%前後に低迷。改善を求める与党・国民の力の韓東勲代表の進言も聞き入れず、確執が広がった。

 さらに、国会の多数を占める野党から様々な攻勢をかけられ、政権運営が行き詰まっていく。その末に頼ったのが「非常戒厳」という手段だったとみられている。

 「党と政府が国政運営に責任を持つ」という発言は、独善的な政権運営を改める意思を示すためのものとみられる。それに合わせるかのように7日、与党の韓代表と韓悳洙(ハンドクス)首相が会談した。

 韓代表は7日夜、尹氏が退陣まで職務から排除され、首相と党が協議して国政運営にあたるとも述べた。だが、大統領が強大な権限を握るこの国で実際にそれが可能なのか、疑問視する関係者は少なくない。

 また、尹氏は7日の談話で「私の任期も含め、今後の政局の安定策はわが党に一任する」と述べ、任期短縮の可能性すら持ち出した。そこまで検討するのだから、弾劾には反対してほしいというメッセージだったと受け止められている。

「本気で任期短縮を考えているかは疑わしい」

 だが、「尹氏が本気で任期短…

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