東京メトロの看板

 泊まり勤務をしていた社員の「休憩時間」が実際には労働時間にあたるとして、東京メトロを運営する東京地下鉄(東京)が、足立労働基準監督署から是正勧告を受けたと8日、発表した。勧告は2日付。同様の勤務実態があるとみられる社員は約1800人に上るとみられ、同社は今後、未払い分として最大約86億円を支払う見通しという。

 同社によると、是正勧告の対象になったのは、日比谷線で防犯カメラや信号機などの保守管理をする部署。カメラの故障などの突発事案に対応するため、毎日8人程度が朝まで泊まり勤務に入り、全員が同じ時間帯に計8時間50分の休憩を取っていた。

 同社はこれまで、突発事案に対応した分は代わりの休憩時間を設けたり、残業手当を支払ったりするなどして対応してきた。ただ、労基署は社員への聞き取りなどから、突発対応をしていない休憩時間についても「労働から離れることが保障されている時間とは認められず、労働時間に該当する」と判断。割増賃金の支払いなどの措置を講じるよう勧告した。

 同社は今後、全路線を含めたグループ社員を対象に割り増し分を支払う方針で、対象は約1800人、総額は3年間で最大約86億円に上る見通しだという。同社は8日に会見を開き、「今回の事態を厳粛に受け止め、再発防止に取り組んで参ります」と話した。(増山祐史)

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