大阪市の旭区や東淀川区を中心に死者・行方不明者およそ2800人を出した第3次大阪大空襲から7日で80年となる。被災者の高齢化が進み、慰霊の行事を続けることが難しくなるなか、次世代が受け継ごうとしている。
「我々世代にもうバトンが渡されているんだな」。能楽師の山中雅志(まさゆき)さん(47)は、空襲体験を継承する責務を実感しながら今年を迎えた。山中さんは、足の踏み場もないほど遺体が散乱した街を逃げまどったという東浦栄一さん(96)らから体験を聞いてきた。
能は鎮魂や供養の芸術とも言われる。山中さんは第3次大阪大空襲の犠牲者のため、2011年から旭区で毎年、慰霊の能を舞ってきた。
ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が続き、「過去の戦争を繰り返したらいけない」という思いが強まっているという。
今年6月7日は、新たに作った能「千人塚」を演じる。
千人塚は、身元不明の犠牲者…