被爆体験や被爆者運動について語る和田征子さん=2025年2月22日午後、横浜市鶴見区、小川崇撮影

 核兵器を全面的に禁じる核兵器禁止条約の第3回締約国会議が、3月3日から米ニューヨークの国連本部で始まる。ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)を代表して参加する被爆者の一人は81歳。直接的な原爆の記憶がないことに葛藤を抱えながらも、世界に核廃絶を訴える。

 「母から聞いたことしか話ができません。こんなインパクトの無いような話をしてどうするのか、とためらいます」

 横浜市内で2月22日に開かれたノーベル平和賞の報告集会。日本被団協の事務局次長、和田征子(まさこ)さん(81)=横浜市=は、母親(2011年に死去)から受け継いだ「被爆体験」を、スライドを使いながらゆっくりと語り始めた。

 1945年8月9日、長崎で被爆した和田さんは当時1歳10カ月。記憶はほとんどない。

聞き取りまとめた文章、母が言った一言

 自宅は爆心地から約3キロ…

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