トランプ米政権は23日、米国が人工知能(AI)で世界を主導することを目指した「AIアクションプラン(行動計画)」を発表した。中国へのライバル心をむき出しにし、データセンター整備強化や友好国への半導体輸出を促進する。シリコンバレーのAI企業が求めてきた規制緩和にも積極的に取り組む。
トランプ氏は就任直後の1月、AIのリスク管理を企業に求めたバイデン前政権の規制に関する大統領令を、「AI開発に過剰で不必要な政府規制」(ホワイトハウス)として廃止。180日以内に新政権の「行動計画」を策定すると約束していた。
行動計画は「AI競争に勝つ」を主眼に、「技術革新の加速」「インフラの構築」「外交安全保障での主導権」の3本柱からなる。90以上の政策を盛り込み、数カ月内に実行するとしている。
具体的には、データセンターや半導体工場の政府許認可を迅速にしたり、技術者を増やしたりする。AI関連技術の輸出を促進し、インフラで米国製を世界標準にすることも目指す。対中国でのAI競争に勝つことを意識している。
AIやインフラ開発に妨げとなる「官僚的手続きや過度な規制」を撤廃する方針も打ち出した。安全性の検証を求めていたバイデン前政権とは異なり、迅速な開発推進を重視する姿勢だ。
米国では州政府が独自にAI規制を進めてきたことから、企業が連邦政府に緩和を働きかけてきた。トランプ氏は、各州の動きを「つぎはぎだらけのAI規制」と呼び、「すべての州を超越する、常識的な連邦政府の基準が必要だ」と主張。行動計画では「開発を不当に妨げる規制を持つ州」には、連邦政府のAI開発向け補助金を制限するとした。
AI開発企業に著作権法違反を問う訴訟が相次いでいるが、今回の計画には著作権に関する記述はなかった。ただ、トランプ氏は演説で「読んだり学んだりしたすべての記事や書籍について支払いを求められるようでは、AIが成功するはずがない。中国はそんなことはやっていない」と述べ、AI企業寄りの姿勢を示した。
計画で異彩を放ったのは、AIが言論に与える影響についての政府関与だ。「言論の自由の擁護」を掲げ、連邦政府が契約するAIモデルは「客観的でイデオロギー的偏向がない」ことを条件とした。
政権内には、一部のテクノロ…