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京都市が2015年12月、男性に渡した停職3日を命じる通知書=本人提供

 就職して十数年後に念願の職場に配属された。しかし、わずか3年半ほどで異動を命じられた。施設に入所中の子どものためを思って、職場の対応の遅れをただした通報。裁判には勝ったが、元の職場への復帰はかなっていない。京都市職員の男性(54)は、「通報するかどうか悩む人がいたら『積極的に通報しましょう』とは、とても言えない」と話す。

  • 公益通報後に配転「まさかの処遇」でうつ病に 「正直者が馬鹿を…」

 男性は、2012年、長く希望していた児童相談所の勤務となり、虐待に関する調査を担当するようになった。自身も一人親家庭で育ち、「子どもたちの力になりたかった」と張り切った。

 人生を変える出来事が起きたのは、2年後の秋。民間児童養護施設の施設長が、子どもを虐待していた疑いがあると知った。児相職員が閲覧できる情報システムのサーバーに保存されていた相談記録を調べると、その2カ月前、児相は、子どもの母親から相談を受けていた。

 「その時点で虐待通告として扱わなければならない事案なのに、適切な対応がされていない」。男性は、児相の対応に強い疑問を抱いた。

 しばらく様子を見守ったが、徐々に黙っていられなくなった。

公益通報の窓口にメール 3カ月後、弁護士は…

 15年3月、男性は、市の公…

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