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平和記念公園にある原爆死没者慰霊碑の前で外国人観光客に英語でガイドをする佐々木駿さん=2025年6月10日午後5時2分、広島市、松山紫乃撮影

 年間200万人以上が訪れる広島市の平和記念公園で、外国人観光客に英語でボランティアガイドを続けている小学生がいる。広島市で生まれ育った佐々木駿さん(12)。流暢(りゅうちょう)な英語で、外国人に広島の歴史とともに、平和の大切さを伝えている。

 小雨が降る6月上旬の午後、佐々木さんは、「英語で気軽に話しかけて下さい」と英語で書かれた黄色いビブスを身にまとい、ノルウェーやドイツから訪れた5人の男性観光客に原爆ドームの説明をしていた。

 「『二度と原爆の惨事を繰り返さない』という思いを込めて、広島はこの建物を残すことにしたんです」。写真や絵をはさみこんだ自作のファイルをめくりながら、平和記念公園はかつてどんな場所だったか、原爆によってどんな被害を受けたのか、について語り続けた。クイズを織り交ぜつつ相手の関心を引き付ける。男性たちは次第に引き込まれ、最後はビブスにメッセージを書き、記念撮影をして別れた。

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ガイド終了後、着用しているビブスにメッセージを書いてもらう佐々木駿さん=2025年6月10日午後4時43分、広島市、松山紫乃撮影

ボランティアを始めて知った、曽祖母のこと

 いまは月に2回ほどのボランティアガイドは小学2年の時に始めた。生後7カ月から自宅で、幼児向けの英語教材で学んできた佐々木さんは、ネイティブレベルの英語を話す。小学1年の時に初めて平和記念公園に興味を持ち、母・美緒さんと戦争や原爆の被害の実態を調べた。「外国の人たちと英語で話したい」という思いと、自分が学んだ「広島の被爆の被害はどんなものだったかを伝えたい」という思いが重なり、英語でのボランティアガイドを始めた。

 多くの外国人が大きく反応す…

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