(22日、第97回選抜高校野球大会1回戦 早稲田実8―2高松商)
第97回選抜高校野球大会は22日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で1回戦があり、8年ぶり22回目の早稲田実は高松商(香川)を8―2で破り、8年ぶりに初戦を突破した。早稲田実の和泉実(みのる)監督(63)の試合後の主なやりとりは以下の通り。
――おめでとうございます。
いやー、この一戦は、生徒っていうより僕自身、戦う前もいつもより緊張していた。ただ、思いのほか、生徒たちがよく動いてくれたのと、いろいろな部分でこちらにいい風が吹いてくれた。強敵という部分で、かなり集中していたんですけど、高松商業という相手で、生徒たちがどんどん集中力が増して、こういう結果になったのかな、と。そういう意味では、相手に対しても、いろんな思いが重なって、今日みたいなゲームになった気がしています。
――中村心大(こうだい)投手が投打に活躍した。
バッティングの調子が悪かったので、打順を下げたら……、申し訳ない。監督の思いと違うような。あの打順でよく回りましたよね。そういう意味ではよく打ってくれました。投げる方も、ここっていう時は集中力が増していいピッチングをしてくれました。安心はしながらも、相手がいいだけに最後の最後は気が抜けないような感じを受けました。まあ、大黒柱がよくやってくれました。
――高松商が相手だった。
甲子園決勝で2回阻まれましたから。選抜と選手権と。ずいぶん前の話ですけど。早実の監督をしている限り、知ってたので。生徒にはそれなりの話はしましたけど、生徒はそういうことでなく、思う存分甲子園球場を楽しんでくれました。私自身としては、お会いしたことない先輩ですけど、雪辱したいという気持ちはありました。僕の思い以上に生徒たちがよく動いてくれて、こういう結果になったと思います。
――OBから言われた?
それはないけど、帰ったら言われるかな(笑い)。
――ご自身が(そう考えていた?)
そうですね。監督も30年近くやりますと、早実の歴史に関してはそれなりに学びまして。荒木大輔くらいの時は自分も現役ですからわかるんですけど、戦前、戦後、そのあたりが早実の野球部がどう、ここまでつないできたか、それなりに知っております。全国制覇をずっと阻まれてきたなかで相手が高松商業というのは知っていましたんで。僕としては、そういう思いはありました。いい報告はできたかな、とは思います。
――ほっとした感じ?
そうですね、ほっとしましたね。第1回の先輩たちに思いをはせていた部分はありますので、高松商業に勝ったというのは、僕自身はいい報告はできたかなとは思います。
――早実らしさとは。
どうなんだろうな。生徒が気持ちよく甲子園球場を楽しんで、動いて。中村(心大)も(甲子園に)入る前は、調子はどうなのかなという不安はあったんですね。バッティングもよくなかったので。だけど予想もはるかに超えるピッチング、バッティングをしてくれましたし。今年は宇野(真仁朗=ソフトバンク)みたいな大型バッターはいないけど、チームとしてつなごうよ、と。上位(打線)は当たっていたけど、今日はあまり機能しない中で、この点数を重ねられたということは、チームとして後ろにつなごうよというのは、このチームできてから言っていたんですけど、それが甲子園球場でやってくれたような気がしています。
――中村のバッティングは予想以上?
期待はしているんですけど、今日はよう打ってくれましたね。もともと左中間にいい打球が出る。練習含めて引っ張りにかかっていてですね。なかなかそれを自分でも練習で変えようとしていたけど、どうもタイミングが合っていなくて。公式戦で集中力が増したときには、自分の本来の打球が出ていましたね。
――(二回)レフトオーバーの当たりでつかんだ?
かもしれませんね。あそこらへんの打球はよく伸びるし、彼の中では一番いい打球。あの打球がずっと出ていなかったけど、あれでつかんでくれたような気がします。打順(7番)もあそこに下げてうまく回った部分もあって。また上げた方がいいのか、いろいろ考えます。普段は3番です。灘本がずっと下位で。でもここのところずっとよくなってきたので思い切って(3番に)変えてみたんですけど。それも含めて、結果出た人、出なかった人、それぞれ思うことがありますので、それがすべて次につながるいい材料だったと思います。
――バットの影響は。
飛ぶ、飛ばないじゃなくて、芯に当たるか当たらないかが大事だと思います。チームとしては低い打球を打とうよ、と。宇野みたいなホームランバッターはいませんから。生徒たちに言っていることが表現できた気がします。
――監督は緊張していたというが、生徒はどんな雰囲気だったか。
僕は緊張していたけど、生徒はあんまり緊張していなかったと思う。いい緊張はしていました。ただ、また、監督緊張しているなっていうのはみえてたんじゃないかな。救ってくれたと思いますよ。