(25日、プロ野球 阪神タイガース5―1中日ドラゴンズ)
セ・リーグ屈指の投手陣をリードする阪神の捕手、坂本誠志郎は普段、守備で光を放つ。が、この日は打席で輝いた。
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両チーム無得点の五回1死二、三塁で右打席に入ると、1ボールから相手バッテリーがストライクを取りに来た球を逃さなかった。一塁側に転がす絶妙のスクイズ。先取点を奪った8番打者は「そういう打順。気持ちの準備はしていた」。
同点の九回、今度は無死二、三塁。サインが「スクイズ」でも「打て」でも「どっちでもいけるとは思っていた」と坂本。ただ、「監督から『思い切って』という話もあったので」気持ちは少し「打て」寄りだった。
スクイズのサインは出ない。初球、甘く入った154キロを振り切った。打球は左中間を破り、勝ち越しの2点二塁打になった。
2学年上の梅野隆太郎との捕手併用が数年前から続き、今季は坂本が30試合、梅野が15試合で先発マスク(1試合は栄枝裕貴)をかぶる。村上頌樹や大竹耕太郎、伊原陵人ら制球力の良い投手は坂本が、才木浩人ら速球派投手は梅野と組むことが多い。打順はどちらが出ても7、8番だ。
阪神打線は俊足巧打の近本光司、中野拓夢の1、2番に3番森下翔太、4番の佐藤輝明と、上位打線が引っ張る。リーグ打率10傑に1~4番全員が入ることからもそれは明白だ。坂本も自覚している半面、「木浪(聖也)たちと『僕ら7、8番が機能したら、すごく良い流れになる』という話をしている」。この日は五、九回とも木浪が犠打で送り、自らが試合を動かした。
坂本の3打点の活躍に「勝負強かった」と藤川球児監督も喜んだ。1位から4位までが混戦のセ・リーグ。上位打線へのマークは当然厳しくなる。抜け出すために、下位打線の働きは欠かせない。
佐藤輝(神) 4番左翼で先発出場。プロ5年目で初の左翼守備に「これからもあるかもしれないので、しっかり練習する」。
藤川監督(神) 佐藤輝のプロ初の左翼守備に「1年間戦っていく上で必要と思えば、それが大きな決断でもしなければいけない」。