(27日、第107回全国高校野球選手権群馬大会決勝 健大高崎4―3前橋育英=延長十一回タイブレーク)
2年連続の夏の頂点に立った健大高崎。加藤大成主将(3年)は「ふがいないキャプテンだったけど、仲間がついてきてくれて2連覇を達成できた。仲間に感謝です」。勝利直後のインタビューで、ほっとした表情でそう語った。
昨年は、選抜高校野球大会で群馬県勢初優勝を成し遂げ、重圧がかかった中で9年ぶりの夏の頂点をつかんだ。「優勝できたのは奇跡じゃない。力のある選手たちが、やるべきことを必死になってやってきたからだった」。そう加藤は振り返る。
新チームになってからの昨秋以降の公式戦では、昨秋の関東大会決勝、今春の選抜大会準決勝でともに横浜(神奈川)に敗れた以外、この日の決勝を含め25勝。鉄壁の投手陣を擁し、上位から下位まで切れ目のない打線に、足を使った攻撃も駆使するなど、圧倒的な総合力を見せてきた。「絶対に勝たないといけない。『勝って当たり前』という見方をされることもある。その中で勝ちきるのは相当な覚悟とプレッシャーがあった」
春の関東大会優勝後、チームの雰囲気が緩み、練習試合で負けることもあった。「夏はそんなに甘くない」。涙しながら仲間に活を入れ、チームを引き締めてきた。連覇がかかった今年の優勝も「これまで自分たちがやってきたことの集大成として全て出し切った結果だ」と語る。
3番・一塁手の秋山潤琉(3年)は「チームが崩れそうなつらいときにこそ率先して動いてくれて、男泣きで訴えて、引っ張ってくれた。『キャプテンについていこう』という気持ちでいっぱいになった」と明かす。
そして決勝。5番・捕手の小堀弘晴(3年)は「前橋育英は守備が堅く、攻撃も全然隙がない。気持ちを前面に出して戦ってくる本当にいいチーム」とたたえた。延長タイブレークにもちこまれたが最後は競り勝った。「どんな場面があっても想定内。タイブレークの練習は数をこなしてきた。それを信じるという自信で、勝ち切れた」。
夏の甲子園で初の「日本一」を目指して戦う。加藤は「ここからが本当に勝負。日本一の目標に向けて今やっとスタート地点に立った。最後の力を振り絞って、日本一を取れるように頑張りたい」。
健大高崎が2年連続5回目の優勝
第107回全国高校野球選手権群馬大会(朝日新聞社、群馬県高校野球連盟主催)は27日、上毛新聞敷島球場で決勝があり、健大高崎が前橋育英に延長十一回タイブレークの末に4―3でサヨナラ勝ちし、優勝を決めた。8月5日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する全国選手権大会へ出場する。出場は2年連続5回目。選抜大会では昨春に優勝したが夏は8強が最高で、初の全国制覇を狙う。試合に先立ち、今年の育成功労賞を受賞した前高崎商責任教師の篠原雅之さん(65)が始球式に臨んだ。
◎…両校の意地と執念がぶつかりあった緊迫した試合展開となり、健大高崎が十一回タイブレークの末にサヨナラ勝ちした。
先取したのは前橋育英。三回表1死から近藤が敵失で出塁、中村の中前安打で一、二塁。隅田川が右越え本塁打を放ち、3点を奪った。
三回裏、健大高崎は2死から石田が左中間二塁打で出塁。加藤の中前適時打で1点をかえすと、秋山が左越え本塁打を放ち、すぐさま同点に追いついた。
四回以降、試合は膠着(こうちゃく)する。前橋育英は力投した先発の片岡が六回終了時点で降板。「足がつって仲間に迷惑をかけると思って降板した」と片岡。継投の井沢が好投を続けた。健大高崎も先発の下重が3失点したものの安定した投球。昨年の優勝投手の佐藤が継投、さらにエース石垣元にマウンドを託し、相手打線を封じた。
明暗が分かれたのが延長十一回。前橋育英はタイブレークの走者を犠打で二、三塁に進めたが後続を断たれた。健大高崎はその裏、無死一、二塁から石田が左中間安打を放ち、サヨナラ勝ちした。