歌人の馬場あき子さん(97)が47年続けてきた朝日歌壇の選者を3月末で退任することになった。いまなお新作が短歌総合誌の巻頭を飾り、歌壇最高峰とされる迢空(ちょうくう)賞の選者を務めるなど第一線で活躍する歌人だが、「元気なうちに退きたい」と引退を決めた。
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馬場さんは1928年1月、東京都生まれ。女学校入学前から短歌を作り始め、戦後まもなく窪田章一郎に師事。同じ時期に能の喜多流宗家に入門し、短歌と並行して能にも打ち込んだ。高校教師だった1971年に出版した古典評論「鬼の研究」が高く評価される。78年に歌誌「かりん」を創刊。同年、五島美代子の後任として朝日歌壇の選者に就任した。
当時50歳。明治生まれの前川佐美雄、大正生まれの宮柊二、近藤芳美ら歌壇の重鎮とともに朝日新聞東京本社に隔週で集まり、6千~8千通の投稿に目を通した。「いまと違って森厳とした雰囲気で、投稿数にも圧倒されて。初回は緊張のせいか帰宅した後、吐いてしまった」と振り返る。
現在も4人の選者が隔週で集…