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高知大会の開会式で整列する選手たち=2025年7月12日午前9時3分、春野、原篤司撮影
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 第107回全国高校野球選手権高知大会が12日、開幕した。高知市の県立春野球場で開会式と1回戦2試合があり、夏の甲子園出場をめざす球児らの熱い戦いが始まった。土佐塾は安芸を3安打に抑え、8回コールド勝ち。高知国際は中盤の猛攻で逆転し、宿毛工を圧倒した。13日は2球場で計5試合が予定されている。

 午前8時半から始まった開会式では、高知国際中学・高校吹奏楽部が軽快に行進曲を演奏。大勢の観衆が見守る中、先導役の高知の中島誠賢さん(3年)に続き、参加25校・23チームの選手やマネジャーたちが元気よく入場行進した。

 グラウンドに全員が整列した後、国旗が掲揚され、丸の内の音楽科で声楽を専攻している山中娃俐(あいり)さん(3年)が、透明感のある声で「君が代」を独唱。昨年の優勝校、明徳義塾の池田佑二主将(3年)が優勝旗を返還した。

 県高校野球連盟の山岡晶会長は「目標に向け、これまで培ってきた技術やチーム力を存分に発揮して悔いのない試合をして下さい」とあいさつ。朝日新聞高知総局の竹田真志夫総局長は「熱中症とけがに注意をして、自分たちの目標に向かってがんばってください」と話した。浜田省司知事の祝辞を今城純子県教育長が代読し、「選手一人ひとりが大いに活躍し、一生の思い出になるような戦いが繰り広げられることを期待します」と呼びかけた。

 司会は、丸の内の谷岡颯花(そな)さん、長谷川瑠果さんが担当。いずれも野球部マネジャーの3年で、はきはきとした声で式を進めた。

 式の終了後、谷岡さんは「意外に緊張せずに落ち着いて司会ができた」。長谷川さんは「ずっと部員や先生たちから励まされ、頑張れた」と振り返った。

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 「勇気や感動を届け、この夏が一生心に残るように、全力で、真っすぐに戦い抜くことを誓います」

 開会式で選手宣誓を務めた中村の小坂悠晴主将(3年)は、両脇を締める直立不動の姿勢で、思いをよどみなく口にして、大きな拍手を受けた。

 「自分にしか言えないことがあると思い、うれしかった」と大役を射止めた際の思いを振り返る。文案は1人で考え、横山真哉部長に相談して固めた。「感謝を一番に伝えたかった。諦めず、仲間を信じるという思いもこめた」と話す。

 この日は大勢の観客がいて「結構緊張した」。しかし、宣誓の練習を毎日、野球の練習後に屋外で重ねた成果で、言葉はすらすらと出てきた。「聞く人に伝わるようにはきはきと言えた。自分のイメージ通りでした」と笑みを見せた。

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 開幕試合の始球式は、追手前のマネジャー黒瀬玲奈さん(3年)が同校のユニホームに身を包み、マウンドに上がった。

 登板が決まり、3年の男子部員の協力で投球練習を始めた。「最初は全然ダメ」だったが、フォームなどの助言を受けて上達。本番直前にはファウルグラウンドでの練習で強めの投球を披露し、観客席から「おお」という声も聞かれた。

 本番はワンバウンドになった。「ちょっと緊張した。でも、コースは良かった」と明るく振り返り、「この3年間を締めくくる良い機会になりました」と話した。

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