崇徳―瀬戸内 瀬戸内のエース大町悠人投手=2025年7月24日、電光石火、遠藤花撮影

 (24日、第107回全国高校野球選手権広島大会準決勝 崇徳10―3瀬戸内)

 自分の全力投球が楽しみで、ワクワクしながら家を出た。

 瀬戸内のエース・大町悠人投手(3年)は「早く試合がしたい」と球場に向かった。準々決勝では、春の選抜8強の広島商を4安打完封していた。強豪・崇徳との試合に、心は高ぶっていた。

 一、二回、走者を三塁に背負ったが、後続を断つ。迎えた二回裏、4番・赤木大珠(たいじゅ)選手(同)が配球を読んで、三塁打を放つと相手の暴投で生還し、先取点。悪くない出だしだった。

 だが三回、崇徳の4番・中島航選手(同)の適時二塁打で逆転を許すと、五回に三塁打2本などで3失点。六回、走者を2人出した場面でマウンドを降りた。

 体を大きくするため、毎日昼に2合の米を食べた。入学直後、178センチ、78キロだった体は183センチ、90キロに。球速はこの夏、最速148キロを記録した。母の智栄さんは「試合に出たがっていた1年生が、『エースとして絶対に抑える』と言えるまでに成長した」と目を細める。

 そんな大町投手が最も信頼を置くのが、1年からバッテリーを組む捕手の赤木選手だ。「配球で、俺の良さを出してくれます」と言えば、「投げやすいコースや癖を全部把握しています」と赤木選手。先取点で援護しただけでなく、ピンチでは「自分の球を楽しんで投げろ」と声をかけた。

 だが、終わってみれば七回コールド負け。

 赤木選手は「抜群のボールが来てた。100%のボールを投げ続けてくれてありがとうと伝えたい」とたたえたが、大町投手は「気持ちが前のめりになり、自分の球が投げられなかった」。

 「チームを勝ちに導ける人でありたい」。そう話していた大町投手は「自分のふがいなさに、イライラしています。まだまだやれたはず」とこぼした。この日のマウンドで出された宿題は、大学でかえすつもりだ。

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