「死ね」「育休を取ったら殺すぞ」……。愛知県東郷町の井俣憲治町長(57)によるハラスメント問題で、職員108人からの申し出をパワハラ、セクハラなどと認定した、弁護士でつくる第三者委員会は23日、記者会見を開いた。第三者委は、町長のハラスメントに対する理解不足を背景に挙げ、再発防止策を取るよう訴えた。一方、町議の間からは町長の辞職を求める声がさらに強まった。
「パワハラ発言が許されるという誤った考えがあった」
「長い期間に違法性(のあるもの)も含め、パワハラを中心に多岐にわたるハラスメント行為があったことに驚いた」
23日午後、弁護士で第三者委の堀龍之委員長は語った。前日に第三者委が町に提出した調査報告書では、井俣町長が初当選後の2018年5月から日常の業務でハラスメントがあったと認定している。
町が実施したアンケートでは退職した人や臨時を含む739人の職員のうち、約8割の582人が回答。そのうち108人がハラスメントの被害を告白した。堀委員長は「答えたくないという人もいた。あくまでも積極的に回答をした人が108人で、もっと多いと思う」と話した。
調査の過程でハラスメントが現場に大きな影響を与えたこともわかった。職員への聞き取りでは、ハラスメントが大きな原因で退職したり、異動を伴って降格になったりした職員もいたという。
堀委員長は、不適切な行為が長く続いた点について、「職員側にもあきらめたような雰囲気があり、攻撃される職員や降格された職員を見ると声を上げられなくなったのでは。町長のハラスメントにより職場環境を悪くし、職場の機能に悪影響を与えた」と分析。第三者委として町長に聞き取りもした上で、「町長は厳しい指導の延長線上でパワハラ発言が許されるという誤った考えがあった」と断じた。
町長によるハラスメント行為の防止策として、苦情処理委員会を速やかに設置するための規定づくり▽町議会への情報提供▽弁護士など専門家の活用などを複数挙げた。
町長の進退について堀委員長は「選挙で町民から選ばれた人なので、第三者委としては越権に当たる。議会が適切に行動をし、町民が判断すること」と述べるにとどめた。
井俣町長は25日の町議会全員協議会に出席し、第三者委の調査報告書への見解を示すといい、記者会見も開く予定。
不信任決議案に反対した議員も「あまりにもひどい」
ハラスメント問題が表沙汰に…